社畜レベル向上プロジェクト

真剣に社畜としての自分の人生に向き合うブログです

残業やめたいですか?

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何気なく日本のテレビを見ていたら「ガイアの夜明け」で興味深いテーマを取り扱っていました。
「残業やめられますか?」
強制的に残業を無くそうとする会社と、急な方針転換に翻弄されて戸惑う社員、その混乱を管理職側と部下側の両面から捉えた番組でした。
番組を通して見て、なぜ誰も本当の目的を掘り下げて考えないのだろう、と感じてしまいましたが、番組の最後に江口洋介が「残業を減らすというのはあくまで手段である。手段が目的になってはいけない」という締め方をしていました。やられた、これは確信犯だな、と。
視聴者が「手段が目的になってるじゃないか!」と感じるように番組を構成し、最後に「そう、あなたの言うことが真実。」と締め、視聴者はここで自分の意見が真実だと納得して満足する。
まさしく僕がハマったパターンです(笑)

番組の中でも、部下からの「どうしてノー残業なんですか!?」という質問に、しどろもどろになりながら「会社の方針だ。私の立場もわかってくれ」と応えているシーンがありました。

その上司の中では完全に手段が目的になってしまっているようでした。

仕事以外で、自分が大切にしたい時間をつくり、人生をより豊かなものにすることが目的ですよね。一度きりの人生ですから。
その大切な時間を、会社の都合で奪ってはいけない。
だから、もし仕事をしている時間が楽しくて仕方なく、自分の人生を豊かにしているのは仕事だと信じて疑わない人に対しては、やはりその仕事の時間を会社が奪ってはいけないのではないか、という理屈もありますね。屁理屈に聞こえるかもしれないですが、意外とそういう人もいたりするんです…。

じゃあ問題は何なのか。

限られた時間をどう使うかは、本当に自分がしたいことで優先順位を決める

これが出来ないということがきっと問題なんです。
とはいってもお金は稼がないといけないですから、毎日夏休みーというわけにはいかないですね。
よって、平日9時〜5時は仕事として、平日のアフター5、が自分でどう使うかを決められる範囲になると思います。
僕らは毎日このアフター5の使い道を決めながら生きているんです。
そして、僕をはじめ多くの社畜達は、そこで"仕事をする"という選択をしているんですね…。

なぜでしょう…?

もちろん、大事なプレゼンの直前や決算前などの繁忙期であれば、家族との夕飯や恋人との時間よりも仕事の優先順位があがるでしょう。
それは、そこで成果を出さないと自分の評価、ひいては給料に影響が出ると考えられるからですね。
当然日々の積み重ねも大切ですが、会社員には必ず"ここでやらねば"という時があるものです。

しかし、それがあるとしても、振り返るとほぼ毎日残業していますね…。

上司よりも先に帰ると"ラクをしていると思われる"なんて職場は論外ですが、そんなクソ上司ではなく、"やることをちゃんとやってくれれば勤務時間は関係ない"という上司のケースの方が多いのではないでしょうか?
僕の職場はまさにそのケースです。

やることをちゃんとやってくれればOK。

しかし、この一言で僕らの残業は決まってしまうのです。
こういうことを言う上司は大抵優秀で、仕事に求めるクオリティも高く、そのクオリティ如何で評価が決まります。
営業であれば、時間をかけた分だけ数字をあげるチャンスが増えるでしょうから、やはり評価に繋がります。
そうなると、やることをやれば評価する上司と、向上心のある社畜がセットになると
やはり残業は避けられなくなるんですね。

ここまで考えると、実は問題は評価方法にあることが分かります。
「出来るだけ残業はせずに家族や友人との時間を大切にしろ、でも評価は数字と仕事のクオリティで決めるぞ」
と言われてしまえば、評価と給料を上げるために仕事の細部に拘るということの優先順位が高くなるのが我々日本の社畜です。

かつての高度成長期、我々社畜の祖先の方々は、「あいつより良いものを」「あの会社より高品質のものを」と躍起になって働き、もちろん良いものを出せば評価され、それが今のジャパンクオリティに繋がっているのでしょう。

モーレツに働けば働くほど、評価され、経済成長にも繋って給料も上がるという、社畜にとっては良い時代だったわけです。

そして現在、そのときに出来上がった"モーレツに働く"というある種の強迫観念みたいなものだけが残り、"何を成し遂げるために働くのか"、という一番大事なことが社員1人1人からは見えなくなってしまったように思います。
社長が明確な経営理念を示せばいいとかそういう問題ではなく、社員1人1人の目標設定を明確にして、通期でその目標を超えさえすればいい、という考え方を徹底する必要があります。
これには上司の高いマネジメント力が必要になりますね。
毎日定時に帰り、目標の100%を達成した部下と、毎日残業して目標の120%を達成した部下とを、同じ評価にしないといけません。それが上司に出来ないと、評価が欲しい社畜達はいつまでも残業をします。(僕のように)

もし、いくら言っても残業が一向に減らない、よく働くマジメな社員達に囲まれた会社の社長があなただったら、残業=悪というこのトレンドの中で残業削減を株主からの要請された場合、どのような手を打ちますか?
もしかしたらとても非効率に仕事をしているから残業が減らないのかもしれない、いつの間にか意味のない残業をさせるクソ上司ばかりの会社になっているのかもしれない、しかし、もしかしたら既に社員は限界まで効率的にやっていて人が足りないだけかもしれない、この残業で引き上げているクオリティのおかげで今の当社のポジションがあるかもしれない、、、などなど、色々考えてしまいそうですね。
しかし、どの中間管理職に聞いても、既に限界まで効率的にやっているから人が足りないだけなのだ、と言うだけです。

そうなると、もう選択肢はあまりありません。
人を無駄に増やしてコストをあげるわけにはいきませんから、"全社員一律で残業禁止にして、非効率の膿を洗い出す"、その過程において多少のモチベーションの低下やクオリティの低下はやむ無し、という経営判断も、ここまでくると合理的に思えてきます。
この記事のタイトルでもある「残業やめたいですか?」は従業員だけでなく、経営者にも問いかけられているんです。
今回のガイアの夜明けのように、残業問題について従業員達に焦点を当てた番組はいくつもありましたが、経営者の判断に焦点を当てた番組や記事は今までに見たことがありません。
やもすると目的が手段となっているように"見えてしまう"この問題を、経営者と従業員双方の視点から捉えて、問題認識を一致させたうえで、解決に向かって共に考え抜いていくことが大事なのではないでしょうか。